鈴鹿文学祭は、鈴鹿市の文学継承を目的に、「齊藤緑雨顕彰会実行委員会」が開いています。
今回は、作家 井上武彦の作品の功績を称えるとともに
今後の井上文学の再評価を期待して斎藤緑雨文化賞を授与しました。
第一部の授与式では、妻の千代子さんと、長男の透さんが賞状を受け取りました。
井上武彦は、1925年広島県生まれ。
1965年と68年に、直木賞候補になりました。
候補作の一つ、小説「死の武器」が作家 三島由紀夫の目に留まり、
「痛恨のおもひ」と言わしめたとされています。
第二部では3人が講演しました。
長男の透さんは、三島が衝撃を受けた理由について、「趣味の一致」と「リアリティ」を挙げました。
年譜を制作した下田典子さんは、同じ広島県出身だったことなどから
「原爆ものを描いて」と言われたことなどを振り返りました。
同人誌「東海文学」の仲間だった三田村博史さんは、井上の人物評を語りました。
井上武彦と親交があった衣斐弘行さんは
「大衆文学でありながら純文学を超えていた。
後輩への的確な指導とともに人を惹きつけ多くの人に親しまれた作家だった」と称えていました。