田中気象予報士が読み解く 戦後80年            ”天気予報は平和の象徴”

皆さんは「天気予報が消えた時代」があったことをご存知ですか?

今では当たり前に見聞きする天気予報が、戦時中は軍事機密とされました。
これは、日本が米英に宣戦布告した1941年12月8日に気象報道管制が実施されたためです。

同年11月には、天気図の新聞掲載と公衆掲示が禁止となり、
気象報道管制後は、天気予報のラジオ放送も禁止されました。
敵国に日本の気象情報を知られないようにしたわけです。
このことで、敵国だけでなく日本に住むほとんどの人に情報が届かなくなりました。

終戦後の1945年8月21日に気象報道管制が解かれ、
翌日にはおよそ3年8か月ぶりに、天気予報のラジオ放送が復活しました。
「天気予報」は、ある意味で”平和の象徴”とも言えるのではないでしょうか。

(原典:気象庁「天気図」、加工:国立情報学研究所「デジタル台風」)

戦時中も気象観測は続けられ、
終戦となった8月15日の天気図(画像は午前6時の天気図)も残されています。
この日は関東よりも西の地域で晴れた所が多く、東北や北海道はくもりや雨の天気でした。

今年は、気象業務が始まってから150年の節目となります。

8月21日放送のケーブルNewsでは、
気象と戦争の歴史について触れながら天気コーナーをお届けします。

(気象予報士 田中勝利)